大阪難波個室ビデオ店放火、15人死亡

 大阪市浪速区、難波駅に近い路地に立てられた雑居ビル一階にある個室ビデオ店で、小川和弘容疑者(46歳)は、深夜、火をつけた。その結果、15人の人が死亡した。一酸化酸素中毒死である。「生きるのが嫌になった」と供述している。追い詰められていたことは事実である。所持金はゼロ、借金がある。具体的な生活をするあてもない。個室内に可燃性のものをまいた形跡はない、報道によると、備え付けられたテッシュペイパーに火をつけ、かばんの中にあった新聞紙に火を落としたのかもしれない。火炎があがる。その火を見ていたら、本能的に怖くなって逃げ出した。不幸なことに、小川容疑者がいた個室の先には、袋小路にある部屋が十個近くあった。煙が充満すれば、逃げだすことはできない。どんな人が、どんな理由で、個室ビデオを利用していたか分からない。たまたま、小川容疑者と10月1日、午前2時55分に、同じビデオ店にいて、しかも、小川容疑者よりも奥の部屋に割り振られたために、15人の人が死を共有したのである。不条理である。実に不条理すぎる。なくなられた15人も、何かの理由で、そこにいた。週末であれば、ビデオ店やネットカフェ店に寝泊りする若者がいてもうなずける。しかし、平日である。大多数の人は、自分のねぐらに帰る。そして、仕事上で、帰らない人がいれば、ホテルに泊まる。ケチれば、カプセルかサウナにとまる。

 

 限りなく社会の底辺で生きる人達である。そこを追われれば、路上で生活するしか道はない。格差社会、核家族社会、市場原理主義経済が生んだ光と影である。富めるものは、限りなく富み、貧しいものは限りなく貧しくなる。年収が2000万の人が、1000万になったら、年収500万の人を二人作り出せる。330万の人なら3人作り出せる。果たして、年収1億の人と年収3000万の人との差とは一体なんなのだろうか、それほどの差はないはずである。しかし、その一人の人の年収1億を3000万にすれば、7000万のお金がでてくる。年収250万であれば、贅沢はできないかもしれないが、文化的な生活は可能である。そう、7000万で、収入250万の人が28人作れる。それで28人文化的な生活を迎えることが出来る。同じ、一億を稼ぐ人でも、確かに、一億もらってもおかしくないほどの多忙さでがんばっている人もいる。しかし、何もしないで、一億をもらっている人もいる。同じには扱えないが、そこに、社会の矛盾があるのもまた事実である。

 

 小川和弘容疑者の経歴をすこし報道でよんだ。何かをひとつ克己して、がんばりつづけていれば、結果は違っていたように感じる。離婚することもある。同居している親族と死に別れることもある。リストラされることもある。病気になることもある。それだからといって、密室空間で放火するとは限らない。手話をまなんでいたそうである。子供が小さいとき、近所の子供たちといっしょにキャッチボールをして遊んだりして、子煩悩の優しいおとうさんだったそうである。優しい一面が、あった人であろう。理不尽に刃物をもって、15人もの人を無差別に殺したわけではない。殺意をもって、だれでもいいから人を殺して、社会に復讐してやるということでもない。ただ、明日という日を信じられなく、明日、生きていることを放棄したくなったのである。生きるのが嫌になったので、衝動的に放火したのである。しかし、頭のなかでは、この状況で火を放てば、人が死ぬだろうという未必の故意が働く以上、放火殺人は、免れ得ない。なんでこんなことをしたのだろうと、この犯人は悔やんでいるはずである。自分が行った行為によって、平日、そこの個室ビデオ店を使用しなければならなった15人の命を結果的に止めてしまったのである。その中には、ここの生活から這い上がって、上に行こうと思っていた人がいたかもしれない。ネットカフェへ個室ビデオ店を利用している人の中には、前向きに生きようとしている人がいたはずなのである。必ず、ここから脱却して、明るい生活を手に入れるんだという意思を持っている人もいるはずである。結果的に、その人たちの命まで奪ってしまったのである。

 

 

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このページは、中野満が2008年10月 2日 13:31に書いたブログ記事です。

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